4月17日、大徳醤油株式会社様の醤油蔵へ見学に伺いました。
はじまりの香り
駐車場に車を停めた瞬間、甘い香りが広がってきました。みたらし団子を思わせるような、懐かしくて深い香り。これが醤油の匂いか、と改めて思いながら建物の中へ。

知ってもらうことから
はじめに、代表の浄慶さんからお話をいただきました。
現在の醤油業界は、廃業・倒産が続いているそうです。浄慶さんが家業に戻った時も、同じ危機の中にいた。そこで取り組んだのは、まず「知ってもらうこと」。一件一件、家を訪ねてお醤油を届ける。子どもたちに醤油の作り方を伝える。手作りキットで体験の場をつくる。説明のなかに、伝えることへの実直な姿勢が滲んでいました。
一年という時間
現在多くのメーカーが採用している「速醸」という製法は、脱脂加工大豆を使い、約6ヶ月で醤油を仕上げます。効率はよい一方で、原料の生産者や栽培環境が見えにくくなるという側面もあります。
大徳醤油は、天然醸造。四季の温度変化の中で、蔵に棲みつく酵母や微生物にもろみをゆだね、一年かけてゆっくりと発酵熟成させます。多様な微生物が時間をかけて働くことで、まろやかな醤油が生まれる。
醤油は、全ての原料を麹にする食品です。この技術は日本にしかない、と浄慶さんは話されていました。さらに、日本の発酵食品の中でも最も複雑な発酵過程を持つのが醤油なのだとか。塩を加えることで、塩の中でも生きられる菌だけが残る。塩が菌を選別する役割を果たす。聞けば聞くほど、醤油という食品の奥行きを感じました。
菌が棲む蔵へ
お話のあと、醤油蔵の中へ案内していただきました。

壁は一面、酵母の菌糸で黒く染まっていました。長い年月の発酵が積み重なった壁。床も同じく、良い菌が住み着いた場所として機能しているそうです。
静かな蔵の中に、大きな四角い木桶がずらりと並んでいます。シーンとした空間の中に、プツプツ、スーッという小さな音が聞こえてくる。発酵している音です。

急かすことなく、菌のペースで育てていく。その静けさと、かすかな生きている音が、醤油づくりの時間をそのまま伝えているようでした。
絞り出す
布に包まれたもろみを重ね、圧力をかけて搾っていく。その布の質感と、年季の入った機械の重さが、天然醸造という仕事の手間を物語っていました。

発酵の食卓へ
見学の後は、大徳醤油さんが運営される発酵料理店「Soya」へ。醤油粕を使ったスイーツや、発酵を取り入れた料理をいただきながら、食材としての醤油の可能性を改めて感じました。
Soyaさんには、irocaのハーブティ「Reset」も取り扱っていただいています。
発酵という時間のかけ方、菌との向き合い方。ハーブを育てることと、どこか通じるものがあるように感じた一日でした。

